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漏れNG!適切な継手溶接の方法と難しいケース
継手とは、異なる部品同士を接続し、配管の管方向や流量を変えるための部品です。継手は使用用途や材質、形状などで分類され、それぞれ以下のような基準で分類されます。
①使用用途:流れ方向の変更、流量変更、他管との合流・分岐など
②材質:SUS、銅、樹脂など
③形状:直管継手、エルボ継手、T字継手など
継手の接続方法としては、管用ねじを用いて接続する方法やボルトとナットで接続する方法もありますが、強度や信頼性を求める場合にはこれらの接続方法は適切ではありません。具体的には、大量の液体供給や水密性が求められる場合です。そういった場合に選ばれる接続方法は溶接です。
継手溶接で採用される溶接方法とは?
通常、継手溶接は漏れを嫌うため肉盛り溶接を行いますが、開先を取ってから溶接することが一般的です。
より強固で漏れのない溶接が可能な【開先溶接】
開先溶接は開先を設けた母材の接合面を溶接する方法です。開先を設けることで、母材の変形を抑制したり、気密性を確保することも可能です。市販の継手溶接には、V開先(U開先)とストレートなI開先があります。真空や強度が求められる場合はV開先を、設計通りの形状が求められる場合はI開先が選ばれます。
継手溶接が難しいケース、どう対応するか?
継手への一般的な方法は開先溶接であることは申し上げた通りですが、小径や薄肉の継手溶接の場合には、溶接不良の発生率が高まり対応できないケースがあります。
下記ではその一例をご紹介いたします。
①熱伝導性を目的に、薄いアルミ配管を採用する場合
→熱伝導など配管自体に機能を持たせる目的で、材質を薄いアルミにすることがあります。
この場合、まずそもそも薄板への溶接は必要以上に入熱しやすく歪みやすく、加えて、材質がアルミの場合では、溶け落ちや割れのリスクが高まるので、製作難度が非常に高まります。
②省スペースのため、小さな継手や細径パイプを使用する場合
→薄くて細い素材への溶接では、母材全体に熱が伝わりやすく、歪みが発生するほか、内部に溶接ビードが出て目詰まりを起こす可能性が高くなります。
また薄肉のパイプなどの場合は、適合する肉盛り用のワイヤがなく母材同士での突合せ溶接となります。
この場合は、開先は取らず溶接部がぴったりと突き当てられるように切断面が綺麗なカットが要求されます。
③T形状の継手を使用して、連続的に繋げる場合
→T形状の継手を複数使用し配管を延長していく場合、接続点が増えることで、部分的な溶接歪みが全体に影響を与え、管が歪んでしまいます。
このような溶接不良が起きやすい継手溶接で採用したいのが、微細溶接です。
当社は特殊なファイバーレーザー溶接機を駆使することで、板厚0.05mmからの薄板溶接において、外径の変形や歪みの問題をクリアします。また、短時間で局所的に熱が入るため、アルミのような低融点金属でも高品質な溶接を行うことが可能です。
以下にて、微細溶接を用いて対応した継手溶接の事例をご紹介いたします。
微細溶接を採用した継手溶接事例
溶接箇所の両端に凸部が存在しており、その間の非常に狭い箇所で溶接を施し仕上げたものです。噴出しノズルなので気密性が求められますが、φ0.2mmの溶接棒で3重の全周肉盛り溶接を施すことで、お客様のご要望にお応えしました。
継手溶接のことなら、(株)マツダにお任せください!
板厚0.05mmから対応可能なマツダの微細溶接は、従来の溶接方法では対応しきれない小径・薄肉の継手溶接に対応することができます。こういったお客様のニーズに適した最適な溶接方法を提案することが出来ていることが、お客様から選ばれ続けていると自負しています。お困りの方はぜひお気軽にお問い合わせください。