微細溶接とは?
微細溶接とは、極めて小さな範囲に熱を集中させて金属同士を接合する技術のことを指します。対象物そのものの大きさに制約はなく、大型部品であっても「接合部が微細である」という点が特徴です。特にレーザー溶接を用いるケースが多く、数十μm単位の精度で光を集光し、局所的に強いエネルギーを与えることで溶融・接合を行います。これにより、薄板や精密部品といった従来の溶接では難しかった製品に対応できるのが大きな利点です。
微細溶接における加工・設計上のポイント
微細溶接では、接合部が小さいためわずかな条件差でも仕上がりに影響します。以下のようなポイントが微細溶接において特に重要です。これは、加工時だけでなく、設計段階を含めて検討すべきポイントといえます。
ポイント①:レーザーの出力や照射時間を適切に調整し、溶接品質を高める
対象物が薄板や細い部品の場合、過剰な入熱によって溶け落ちや穴あきが生じることがあります。逆に入熱不足では十分に溶け込まず、接合強度が不足する恐れがあります。レーザーの出力や照射時間を適切に設定することが不可欠です。
ポイント②:部品を確実に保持し、不良発生を抑制する
レーザー光のスポット径は非常に小さく、数十μm単位の精度で制御されます。部品がわずかにずれるだけで、溶接が狙った位置に当たらず不良の原因になります。そのため、専用治具で固定するなどの工夫によって、部品を確実に保持する仕組みが必要です。これは加工時のポイントですが、専用の溶接冶具を用いて微細溶接を行っていることを、設計段階でも押さえていただくと、
・超短納期にも対応ができるようになる
・品質トラブルも未然に防ぐことができる
というようなメリットも生まれます。
>>設計者にも知ってほしい、微細溶接に欠かせない専用治具とは?
ポイント③:材質や表面状態を考慮して溶接不良を防ぐ
反射率の高いアルミや銅などはレーザーを吸収しにくいため、適切な波長や出力設定が必要です。また、表面に酸化膜や油分があるとエネルギーの伝わり方が不安定になり、溶接不良を招く場合があります。この場合、加工を行う際の前処理として、洗浄や表面仕上げも検討することも必要です。
ポイント④:寸法精度及び切断精度を含めて設計することで溶接品質を高める
微細な溶接は切断から始まっていると言っても過言ではありません。「突き合わせ」や「重ね合わせ」における隙間の有無で品質が大きく変わります。
微細溶接の多くは薄板であり肉厚がないこと、レーザー径が非常に細い(最小でφ0.1mm)であることから、溶接部に少しで隙間があると溶け落ちにつながり、溶接不良を引き起こします。
したがって、展開やデータ作成段階から溶接を考慮した寸法精度の確保が求められ、またそれを実現する切断面のきれいなレーザー加工技術も必要となります。

微細溶接の事例
当社では、板厚0.05mmからの微細溶接に対応しており、実績が豊富にあります。下記にてその実績を一部ご紹介いたします。
事例①:極薄板微細溶接ダクト

この製品はt0.3㎜のSUSで15㎜角のダクトを製作いたしました。全て微細溶接にて全溶接しており、実際に風を通すことも可能です。
このように通常のTig溶接やファイバーレーザの技術では対応できないもので、当社では微細溶接用にカスタマイズした特殊な設備を用いて、SUS304であれば板厚0,05mmまでの微細溶接・薄板溶接が対応可能となっています。
事例②:Φ1mmパイプの集合管(試作品)

この微細溶接品は、φ1(肉厚0.2mm)の薄肉パイプを5本溶接したもので、φ6の円盤に対してすべてフル溶接を行っています。
5本の薄肉パイプ同士はピッチ1.5mm程度で並んでおり、通常の溶接方法だと狭すぎて溶接ができませんが、当社独自のノウハウにより、5本すべて、フル溶接を行っています。こちらは気密性も要求される製品でしたが、その点もクリアしてます。
事例③:t0.1×d6mm 微細溶接品(サッカーボール)

この微細溶接品は、厚さ0.1mmのSUS304の板を使って製作した、32面体のサッカーボールです。直径は約6mmであり、長さ1.25mmの辺をすべて溶接して仕上げています。このような小さな製品に細かい溶接を歪みなく行うことは非常に高い技術が求められますが、SUS304の板からレーザー加工機を用いて精度よくブランク加工を行い、ひとつひとつ組み上げています。
上記の他にも、微細溶接の事例がございますので、詳細は下記よりご連絡ください。
微細溶接なら(株)マツダにお任せ!
(株)マツダでは、板厚0.05mmからの微細溶接に対応することができます。通常、薄板溶接に向いていると言われるYAGレーザー溶接機では板厚0.3mmまでが限界で、さらに溶接が出来たとしても熱による歪みが発生していましたが、当社は特殊なファイバーレーザー溶接機を駆使し、歪みの少ない板厚0.05mmからの微細溶接・薄板溶接が可能です。さらに薄板加工に際しての曲げ加工や治具作成も社内で行うことで、お客様のご要求に対してスピーディに対応致します。
歪みが発生するので仕方なく板厚を上げていた、あるいは断念していた微細溶接・薄板溶接品は当社に任せてください。




