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「薄板溶接の強度ってどうなんですか?」独自調査の数値を公開!
溶接と強度
溶接は金属同士を接合する技術ですが、溶接部の強度は意外と知られていません。これは、溶接強度を明確に定める基準や計算式が存在していないからです。設計段階で溶接条件、母材の種類、板厚など、強度を左右する要因を理解せずに設計を進めてしまうと、強度不足になる可能性があります。そこで今回は、当社で独自に実施したステンレスとアルミの薄板溶接、ステイク溶接の2種類の強度試験データを紹介します。
薄板溶接の強度〈ステンレス・アルミ〉
まず、薄板のステンレスとアルミそれぞれ同材同士の溶接強度です。
今回の試験では、材質ごとにテストピースを用意し、共付け溶接を施した後、引張り強度試験を行いました。
以下のデータはその結果です。
◆試験条件
・テストピース :150mm×25mm
・溶接方法:共付け全溶接
・試験機:万能材料試験機
・グレーの部分は該当する溶接方法には適さない板厚のため、試験範囲外
試験結果によると、ファイバーレーザー溶接をした場合、ステンレスは材料に関わらず、板厚が薄くなるほど、一体物との強度差が小さくなる傾向にありますが、アルミは逆に、板厚が薄くなるほど、一体物との強度差が大きくなることが分かります。
今回の結果よりも強度を持たせたい場合は、溶接方法の変更や溶接条件を変更することで溶け込み量が増やし強度を持たせるノウハウがあります。
形状によって提案できる内容が変わりますので、具体的な目標値がお決まりでしたら、ご相談時にその旨お申し付けください。
ステイク(貫通)溶接の強度
続いて、ステイク溶接の溶接強度です。
ステイク溶接(貫通溶接)は、ワークの片側からレーザー光を照射し、反対側のワークまで溶け込ませる溶接方法です。今回の試験では、溶接箇所を1点、3点、5点の3種類とし、さらに3点と5点については、裏側まで溶接を出す場合(3点)と、3-2配置で溶接する場合(5点)をそれぞれ用意し、計5つのテストピースで試験を行いました。
◆試験条件
・テストピース :80mm×80mmのSUS304材2枚
・溶接方法:テストピースを20mm重ね、その中央を貫通溶接
・試験機:万能材料試験機
試験の結果、溶接点数を増やすことで強度を高められることが分かりました。また、通常の溶接よりも、裏出し溶接や3-2配置のように溶接位置を工夫することで、さらに強度を高めることができます。ステイク溶接の試験の様子は、以下の動画をご覧ください。
薄板溶接のことなら、(株)マツダにお任せください!
当社は薄板溶接を得意としており、これまで数多くのお客様のご要望にお応えしてまいりました。板厚が薄くなると溶接強度が低下しますが、当社では今回ご紹介した強度試験の結果を基に、お客様に最適な設計提案を行い、ご要望通りの強度を持たせることが可能です。強度不足でお困りの案件がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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