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薄板溶接って歪むんでしょ?というギモンに答えてみました。
時流は薄板による軽量化・小型化を求めています。
薄板溶接を行う上で付き物の悩み「歪み」について、お悩みの方も多いのではないでしょうか。
溶接の種類を変えることで、歪みに違いが出ることは知られていると思いますが、
今回は、「YAG溶接」と「ファイバー溶接」での歪みの発生の違いを
実際に溶接した写真を交えながらご紹介したいと思います。
まずは、SUS304_t0.5mm × YAGレーザー。
ちょっと反ってしまっているのが分かると思います。
次は、SUS304_t0.5mm × ファイバーレーザー。
ご覧の通り、ほとんど反りは確認できません。
もっと薄い板厚で比較してみましょう。
下の写真はSUS304_t0.3mm × YAGレーザー。
かなり歪んでいるのが分かると思います。
そして最後は、SUS304_t0.3mm × ファイバーレーザー。
ほぼ歪みがないのが、分かって頂けると思います。
ちなみに、板厚0.3mmまでしか溶接していないのは、
YAGレーザーではこれ以上薄いものでは溶接が難しく
比較にならないからです 。
同じレーザー溶接なのに、こんなに歪みの差が
出てしまうのは、なぜでしょうか?
まずYAGレーザー溶接ですが、YAGレーザーは溶接幅が狭く、
溶け込みも深いことに加え、パルス制御で均一な溶接ビードが
得られるので、TIG溶接に比べると母材への入熱が少なく、
歪みも小さくなります。
しかし、ステンレスではt0.5mmくらいまでが限界です。
これは今回ご案内した写真でもお分かり頂けたと思います。
これに対してファイバーレーザー溶接は、YAG溶接よりもさらに
ビーム径が小さいので、焼けや歪みがさらに少ない溶接ができます。
その結果、t0.05mmの極薄板でも溶接することが可能なのです。
動画でもTig溶接・YAGレーザー溶接・ファイバーレーザー溶接の仕上がり具合を比較しています。
こちらも合わせてご覧ください。
株式会社マツダでは、このように特性を理解した上で、
材質・板厚・形状に合わせて溶接方法を選択しています。
箔や薄板などの溶接、微細溶接に加え、極細パイプ溶接や
異種材同士の溶接にも積極的に取り組んでおりますので、
溶接でお困りならお気軽にご相談ください!