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精密板金の薄板カバー・ボックス製作を依頼する際に押さえておくべきポイント
精密板金でカバーやボックスの製作を依頼した際に、
「歪みが出て寸法が合わないといった事態が発生した…」
「加工が難しく断られてしまった…」
といった経験はないでしょうか。
カバーやボックスの製作を依頼する上で、溶接技術やノウハウをもった業者へ依頼することももちろん重要ですが、それに加えて、極力溶接を少なくした設計をすることも重要です。
そこで今回は、「精密板金で薄板カバー・ボックス製作を依頼する際に押さえておくべきポイント」と題しまして、極力溶接を減らし、高精度なカバー・ボックスを製作するためのポイントを当社の事例とともに具体的にご紹介いたします。
①:材料規格を基に設計し、溶接箇所を減らす
カバーやボックスを製作する際は、鋼板やアルミ板などの材料規格を基に設計することで、部品を溶接する必要がなくなり、歪みの少ない製品を製作することができます。規格については、材料毎に異なりますが、ゴトウサイズ(1,524mm×3,048mm)が一般的な最大サイズとなり、これ以上の大きさの製品の場合、2部品を溶接して製作する必要があります。
どうしても上記の規格以上のサイズ、特に長尺品のカバーやボックスを製作したい場合には、分割にして溶接でつなぐ必要があるため、下記のようにきれいなつなぎ目で歪みを抑えた溶接ができる技術・ノウハウを持った業者へ依頼しましょう。

ポイント②:コの字曲げの場合は、側面:底辺=1:1.5以上を最低限確保する
曲げは溶接と違い入熱がないので、精度よく加工を行うことが可能です。但し、コの字曲げを行う場合には、一般的な機械のスペックに準じて側面:底辺=1:1.5以上を最低限確保することが推奨されます。この比率が小さいと、一般的な金型では曲げ加工時に干渉が起きてしまうため注意が必要です。

図2. コの字曲げの比率
しかし、カバーやボックスを製作する上で、上記比率以外での製品づくりが必要といったケースも多々あるかと思いますので、その場合は、コスト増となりますが、特殊金型を使用して加工を行う、もしくは逆曲げや溶接で加工するといった対応が必要になります。逆曲げや溶接加工を行う場合は、上記のコの字曲げと比較して、精度が低下する恐れがあるため、加工ができる適切な企業選びが重要です。
ポイント③:溶接が必要な場合、対応可能材質と板厚を把握した上で依頼をする
上述のポイントではなるべく溶接を行わずに加工をするポイントを紹介いたしましたが、どうしても溶接が必要な場合は、どの材質だったらどのくらいまでの厚さまで歪みを抑えて加工ができるか、「対応可能材質と板厚」を把握する必要があります。
カバー・ボックスを製作する際の対応可能な板厚の目安としては、TIG溶接で、
・アルミ:1.5mm
・SUS:1mm
・SPCC:0.8mm
となります。
但し、実際に製作したいカバーやボックスの形状によっても、材質選定や板厚などの条件が異なりますので、設計段階から実績のある企業へ相談することが、製品品質を大きく向上させることに繋がります。
ちなみに弊社では、薄物でも歪みにくいファイバーレーザー溶接機を導入しておりますので、上記の目安に囚われないより薄い製品製作も行っております。
ご相談いただければ当社でも品質を向上させるVA・VE提案を行っておりますので、ご相談ください。
当社の事例をご紹介!
下記にて、当社のカバー・ボックスの製品事例を一部ご紹介いたします。
事例①:蓋つき長物ボックス

今回の製品は長さ3400mmの細長い蓋付きボックスで、市販板から一体成形が難しいため中央で分割・溶接しました。通常は熱歪みによりフタが閉まらない、隙間が生じるなどの問題が発生しやすく、加工難度が非常に高い案件です。マツダでは歪みを最小限に抑える溶接技術と歪取りノウハウにより、高精度で美しい仕上がりを実現しています。
事例②:製紙関係機器用カバー

こちらの製品は製紙機械のチェーンカバーです。
分割構造のため、歪みによる合わせ面のズレが生じ易くなってしまうのでバランスを
調整しながら製作しております。
事例③:食品機械用薄板カバー

食品機械用の薄板カバーは、精度と外観品質が重視されるため、SUS304バフ#400材を使用し、加工中のキズ防止に細心の注意を払いました。1.5mm厚のため強度確保にTIG溶接を採用し、ビード仕上げ後にバフ研磨を実施しております。
品質を高める提案もお任せください!
当社では、頂いた図面をそのまま作成するだけではなく、今回ご紹介しましたポイントをふまえて、「仕様上問題がなければ、このような加工方法や設計はいかがでしょうか」といった積極的なVA・VE提案を行っています。このような提案を積極的に行う企業は稀ですが、加工者にご要望をお伝えいただくことで、加工が難しい製品を製作する糸口が見つかる場合もあります。
株式会社マツダは、精密板金や薄板板金において豊富な実績を持ち、多数のVA・VE提案を行ってきました。新しい視点から、お客様の課題に最適なご提案をさせていただきます。

この記事を書いた人
中村 義人(株式会社マツダ 統括マネージャー)
精密板金に携わって35年以上。幅広い金属加工の知識と経験から蓄積されたノウハウをもとに、
微細溶接の技術は8年前から本格的に技術開拓中。
工場板金検定1級を取得し、実務と資格を両立させた技術力で、板金加工・溶接の現場に貢献しています。




