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異材溶接で失敗しないための3つのポイント!
異材溶接は同じ材質同士の溶接と比較すると難易度が高いため、製品設計においてもその点を考慮しておく必要があります。
このコラムでは、異材溶接が必要な製品を設計されるエンジニアの方にぜひ参考にして頂きたい情報をまとめました。活用して頂ければ幸いです。
➀どんな異材溶接が成り立つのか知っておく
ステンレスと銅は異なる材質でも溶接が成立することはよく知られていますが、それ以外の材質、特にレアメタルなどは何と何がくっつくのか、また強度はどうなのかは一般的には知られていません。異材溶接を検討される設計者の方は、まずそこをおさえておくことがスムーズな開発につながると思います。
下記にまとめていますので参照してください。
※2023年10月25日更新
またその一方で、異材溶接の相性が悪いものも押えておくとよいでしょう。例えばSUSとチタン、SUSとアルミの組み合わせは境界面に脆性が発生するため選択すべてきではありません。
※ではどうやって成り立たせるか?については後述します。
この他、採用する材質における融点の違い・吸収率の違いも押えておくとよいでしょう。
たとえば融点については、金属にはそれぞれ融解し液体になる時の温度があります。そのため融点が近いステンレス(融点:1400度)と銅(融点:1536度)などは熱した際溶けるタイミングがほぼ同じなので溶接がし易くなじみやすい一方、モリブデン(融点:2623度)とステンレス(融点:1400度)では、溶ける温度に差があり、普通に溶接すると融点の低い金属が溶け落ちたり穴が空いたりと品質問題が起きる可能性がありますので、異材溶接を行う企業に事前に確認を行っておくことが必要でしょう。
➁溶接部分は強度的に劣ること、錆びる可能性があることを考慮する
同じ材質同士を溶接する場合に比較すると、異材溶接は一般的に強度が劣ります。
従って、それを頭に入れながら設計を行うことが必要です。また、異材溶接部は電位差が生じるので、錆びが発生する可能性が高くなりますので注意が必要です。
③仕上げない
例えばステンレスの溶接を行う際には、ステンレスの溶接棒つまり同じ材質の溶接棒を使いますが、異材溶接の場合はどんな材質の溶接棒を入れるか決まっている場合は問題ありませんが、合う材質の溶接棒が見つからないケースもあります。
その場合には異なる材料同士をぴったりと合わせることが必要になりますが、これらの材料を仕上げてエッジをなくしてしまうなどの処理を行うと、うまく溶接ができないケースがありますので注意が必要です。
(なお当社の異材溶接はファイバーレーザー溶接機を使用しているので、レーザー径が小さいということにも起因しています。)
いずれにせよ、その異材溶接に合う溶接棒の材質が見つからないことも考慮して、不必要に仕上げないようにすることが重要です。
なお当社では、異材溶接を得意としており、異材溶接には適さないと申し上げたステンレスとチタンの溶接についても「ある方法」を用いることで可能としています。さらに接合度が確保できない材質についても、必要箇所のみ重ね溶接(スポット溶接)することで溶接品質を安定させています。
異材溶接でお困りの際は、ぜひ当社までご相談ください。サンプルをお送り頂ければテスト溶接も可能です。
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