第35回優秀板金製品技能フェア(アマダスクール主催)
厚生労働大臣賞を受賞しました。

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厚生労働大臣賞 THE EARTH

  • 寸法 150.00mm×150.00mm×200.00mm
  • 精度 ±0.5mm
  • プログラム時間 1200分
  • 加工時間 3000分
  • 材質 ステンレス(SUS304)
  • 板厚 0.1mm

常に「溶接の可能性に挑戦する」こと掲げている弊社は、今回地球儀を溶接板金加工で再現することに挑戦しました。
・プログラムの段階より、溶接を考慮した展開図にし、大陸デザインについてもよりリアルな地球に見えるよう、実際の地図をもとにこだわりを持って描きました。
・マントルは板厚0.3mmの銅で制作していますが、銅の溶接は欠落が起こりやすくレーザー光の調整や当て方など試作を重ね、ノウハウを開発して制作しました。
・球体にするために、仮止めの段階から専用治具を設計し溶接すると同時に成形されるよう工夫しています。製作が進むにつれ球体に近づいていくため製作序盤、中盤、終盤で違う治具を使用しています。
・等高線の加工にもこだわりを持ち、板厚0.1mmの薄板を短冊状に切り出し、縦の線については0.25mmの線を2本合わせ0.5mmの細さで組みあげています。この加工において歪み欠落が非常に発生しやすく、レーザー光を球面に対して安定して照射する必要があり、機械自体が持つ自動制御ではなく手動で精度0.1mmの高さ調整を行える治具を作り、職人の手の感覚を活かしつつ品質が一定になるよう工夫しました。

造形品の部 アマダ賞「螺旋と球体の融合」

  • 寸法 150.00mm×150.00mm×140.00mm
  • 精度 ±0.5mm
  • プログラム時間 150分
  • 加工時間 300分
  • 材質 ステンレス(SUS304)
  • 板厚 0.5mm

「少ないピースでどれだけ表現できるか」をテーマに製作に臨みました。デザインにおいては技術先行での発想ではなく、頭の中でイメージした形を3DCADでどれだけ表現できるか追求し、こ れまで通常業務で培ったノウハウを活用しできる限り少ないピースで展開しました。
螺旋階段の曲げ工程に関しては、曲げていく順番をどのようにするかがポイントであり、試作を重ねながら最適な手順を探しました。
球体の曲げに関しては、先端が細くなる舟型多円錐図法の展開を採用したので、先端に行くにつれ寸法のバラつきが生じやすくなる問題が発生しました。そこで、レーザー加工後鋼材から部品を切り離すのではなく、ジョイントで鋼材とつながった1枚の板の状態のまま曲げ加工を行い、加工が完了してから製品を切り離しバラつきを抑えています。
溶接に関しては、接合箇所が多く複雑ですが、薄板を使用している為少しの隙間でも欠落の原因になりやすく部品を密着させる必要がありました。そのため、専用の治具で固定し、最終的な調整は職人の手で行っています。
シンプルな中にも板金・微細溶接の技術と経験が詰め込まれている作品に仕上がりました。

表彰式のようす

制作者インタビュー

社長コメント

この度は、第35回優秀板金部品技能フェアにおいて、「The Earth」が厚生労働大臣賞、「螺旋と球体の融合」が溶接部門のアマダ賞という大変名誉な賞を頂き誠にありがとうございました。

弊社は基本的には地元を中心とした、多品種小ロット製作を専門に生業とする 「町の板金屋」です。そのなかで他社との差別化を図り「強み」を持ちたいということで、約5年前より普通板金屋さんでは手掛けない板厚0.5mm以下の溶接加工に挑戦してきました。

試行錯誤を繰り返し現在では板厚0.03mm、ワークサイズ0.5mm角と【超微細・超薄板溶接】が可能になりました。そこでこの技術の価値を確かめるべく、2019年から本技能フェアに参加させていただいておりますが、

  • 第32回「飛行船」溶接部門グランプリ 「1mm角サイコロ」溶接部門技能奨励賞
  • 第33回「気球」 溶接部門技能賞
  • 第34回「捕食」 溶接部門グランプリ

と一貫してこの溶接技術の可能性に挑戦し続けたことが、今回の受賞に繋がったと感じております。それと同時に【超微細・超薄板溶接】の益々の可能性を改めて感じることが出来ました。

今後もこの受賞に恥じることが無い様に努力を続けて参ります。

「THE EARTH」制作チーム 望月SM

1.今回の受賞をうけて一言

自分としては3度目の挑戦でした。
今年こそは一番上の賞である厚生労働大臣賞を取るために必死に製作してきたので、素直に嬉しいです。

2. こだわったポイント(ここを見て!)

人の目に留まり記憶に残るデザインにした事がこだわったポイントとなります。
地球の小さな島もなるべく形にできるようにこだわり、目を惹きつけるためにステンレスの単色ではなくマントルに銅を使い、作品にメリハリを付け台座には月の満ち欠けを施すなど部分の素材や構成にこだわって作成しました。

3.苦労したポイント

完成させることが一番の苦労でした。
その中でもマントル作成では0.3mmの銅の溶接だったため、中々安定した綺麗な溶接ができず出力調整や当て方などに苦労しました。地球は形状が600面体のワイヤーフレームの球体になっており、大陸の繋ぎ目に違和感がないように位置の調整をしながら仮組溶接するのに苦労しました。

「螺旋と球体の融合」制作チーム 石川M

1.今回の受賞をうけて一言

過去2回グランプリを受賞しているのでプレッシャーがありましたが、今回も受賞できてほっとしました。

2. こだわったポイント(ここを見て!)

何とか曲げた螺旋階段と、溶接が多い中でどれだけ綺麗に仕上げることができるかをこだわりました。

3.苦労したポイント

球体を作る際に48か所を曲げており、なかなか寸法が出ず隙間を調整しながら溶接することに苦労しました。また、少ない部品でどう見せるかを大変悩みました。

「螺旋と球体の融合」制作チーム 冨永

1.今回の受賞をうけて一言

設計から試作の段階を主に担当しましたが、通常製作している製品とはまるで違うデザイン性のある形状で苦労しましたが、曲げや溶接など1つ1つの加工は普段の製造で身に着けた技術を活かした製作ができたので、とても嬉しかったです。

2. こだわったポイント(ここを見て!)

上下を合わせバランスよく溶接した螺旋階段をぜひ見てほしいです。中央のパイプに沿う螺旋階段ですが、位置や角度を調整しながら溶接しなくては、終盤にかけてヨレが発生し高さが合わず美しく仕上がらなくなってしまいます。そこで曲げ加工の段階から溶接加工を意識した加工を行い、溶接時もスタート位置からこだわり最後までバランスに注意しながら溶接しました。

3.苦労したポイント

螺旋階段や球面は高さや角度は一定ではなく、レーザーの焦点距離がずれてしまい安定した溶接が難しく苦労したが、先輩社員のからのアドバイスや協力があり、新たな知識も得ながら製作することができました。

「螺旋と球体の融合」制作チーム 岩本

1.今回の受賞をうけて一言

入社半年で賞を頂けた作品の制作に携われたことは嬉しく、今後の励みになります。

2. こだわったポイント(ここを見て!)

溶接箇所のズレをいかに抑えるか、仮組溶接する際に気を付けながら作業を進めました。

3.苦労したポイント

作業を進めていくと溶接箇所のズレが思ったよりも大きくなることがあり、仮組溶接の再確認、やり直し等に時間が掛かってしまいました。

第32回受賞作品

第34回受賞作品

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