第32回優秀板金製品技能フェア(アマダスクール主催)にて
マツダのものづくりが、評価されました。

Scroll

溶接品の部 グランプリ受賞「735面体の飛行船」

  • 寸法 240.00mm×40.00mm×40.00mm
  • 精度 ±0.3mm
  • プログラム時間 900分
  • 加工時間 1380分
  • 材質 SUS304-CSP
  • 板厚 0.3mm

今回の「飛行船」の薄板・微細溶接においては下記2点がポイントとなった。
①微細溶接では、板と板の突合せ溶接部の隙間が板厚の1/10以上隙間があると溶接困難となるため、治具を用いて板厚0.3mm同士の突合せ部の隙間を0.03mm(30μm)以下の隙間にしなければならない。
②形状を丸く・曲線にしていく際、曲げ治具・仮止め溶接治具などを複数必要となる。
いずれも治具で良し悪しが決まるため、専用の治具の製作から取り掛かった。溶接においては、飛行船前方から後方へ細くなるデザインなので1面は台形の形状をしており連続して一直線に溶接できず、またレーザーの焦点位置が決まっているため治具で1枚1枚角度をつけながら溶接した。
歪みなく溶接するには、最小まで溶接ナゲットを絞り込み治具で何度も確認しながら作業した。本製品は仕上げ・手直し無しで、溶接したままの状態である。

溶接品の部 技能奨励賞受賞「1mm角サイコロ」

  • 寸法 1.00mm×1.00mm×1.00mm
  • 精度 ±0.1mm
  • プログラム時間 20分
  • 加工時間 240分
  • 材質 SUS304-CSP
  • 板厚 0.05mm

●モデリング・設計
サイコロの目を穴で表現する為、1辺が1mm以下の面の中に最大で6つの穴を開けなければならず、隣り合う円の間は約0.07mmに設定した
組み立ての際、基点となる凹凸を設け組みやすいようにした。全周溶接での溶接を行いたかったので、面と面の間は端に約0.02㎜のジョイントを残しスリットを入れた。

●ブランク
薄く、極小の切断になるため、微細・薄板専用のファイバーレーザー切断機での加工を選択。サイコロの目となる穴が最小で直径0.096mmとなるため、レーザー切断機の設定をレーザー径Φ0.1mmまで絞り対応した。

●溶接
1mm角を溶接する際は、もちろんピンセットを用いての作業になるが、板厚が0.05mmしかない為、少しでも強く押えすぎると簡単に変形してし まい、逆に押えが弱いとシールドガスで吹き飛んでしまう問題点があった。そのため固定専用の押さえ治具を製作し、圧力が分散するように押さえ立方体が歪まないように工夫した。

制作者インタビュー

統括マネージャー 中村義人(写真右)

この度はこのような素晴らしい賞をいただき光栄です。初出展でまさか受賞できるとは思わず、大変驚いております。
今回グランプリをいただいた作品は、飛行船をモデルにできるだけ丸みを帯びたフォルムを理想とし、こだわり抜いた結果「735面体」という設計になりました。
展開から、専用治具の発想・製作、歪みを抑えるため最小ナゲットへの調整、1辺ずつの地道な溶接と根気よく製作いたしました。
技能奨励賞受賞の「1mm角サイコロ」は、10mm角から始まり、次は5mm角、次は2mm角・・・と、少しずつ技術を高め、最小を追求した結果の1mm角でした。
両製品とも溶接面の美しさを見ていただくためにあえて仕上げをせず、溶接ビードをデザインのポイントとして残しています。
今回の受賞はこれまでの地道な努力を評価して頂けたようで大変励みになりました。
今後もさらなる技術力の向上に努め、ものづくりの道を究めていきます。

お問合せ

㈱マツダは、これらの技術・設備を最大限に活かし、お客様のお困りごとを解決いたします。